一滴の大海 〜眠れぬ夜に〜

眠れない夜には、自分が真っ暗な宇宙の中に浮かぶ布団の中にいるような気がする。

なるほど僕は、ちっぽけな存在でしかない。
おおぜいの人びとがひしめくこの世の中で、個人は大海の一滴でしかない。

いかにも僕はこの大海の中では無名の存在だ。
人づきあいの悪い、孤独な日々を、
そう、一日一日を、費やしている。

しかし僕は知っている。
どれほど人間関係が浅く、世間との関係が偏った僕であっても、
自分が大海とつながった一滴であることを。

僕は大海の一部で、
大海は僕の一部でもある。

僕は母なる海に浮かんでいる。
そして星を見上げながら思う。

「この大海は一滴一滴で満たされているんだ。」と。